レインリリーで待ってる





「大体、本当のところ、加持くんが明日菜に会いたいだけなんじゃないの? 本当は、私じゃなくて、ずっと明日菜のことが好きだったんじゃないの?」




「は、はあ?」




「だってそうじゃん! 加持くん、いつも明日菜にちょっかいだしたりしてたし、だから、明日菜に頼まれて、断れなかったんでしょ? 本当はそういうことなんでしょ?」




「な、何言うとんねん! んなこと、冗談でも言うな!」




卑怯だ。




私は、今、最強に卑怯だ。




それでも、溜まり溜まったものは、溢れてくるばかり。




「自分の都合を私に押し付けないでよ! 迷惑なんだよ! 本気で明日菜のことが好きなら、自分でなんとかしなさいよ! 男でしょ!?」




私の言葉を聞いて、加持くんは「そうかあ」と言って、席を立った。




「幸せ手にしたら、人って良くも悪くも変わるっちゅうことがよーわかった」




そう言って、カウンターを抜け、バックヤードに入ってしまった。




私のせいだ。





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