レインリリーで待ってる
公生くんとの帰り道、会話は一言もなかった。
傍から見れば、喧嘩したカップルのように見えるかもしれない。
公生くんは何も言わなかったし、かと言って、本を読みながら歩くこともせず、ただ、私の隣を私の歩幅よりちょっと大きめに歩くだけだった。
公生くん、きっと気まずいよね。
私のせいだって、わかっているんだけど……でも……。
そんな時だ。
急に、公生くんが歩みを止めた。
「……ど、どうしたの?」
振り返ると、公生くんがポケットに手を入れたまま、私に言った。
「知ってるか? 明日、花火大会があるんだよ」
「花火……大会?」