レインリリーで待ってる
私はてっきり、加持くんが私との関係を公生くんにばらすのかと思っていた。明日菜もそう思ったに違いない。
しかし、加持くんが言ったのはそんなことじゃなかった。
「ほら、よく考えたら俺ら、お互いのLINE知らんやろ? やけん、ID交換しようや」
加持くんの目的は、私のLINE。間違いない。
でも、休み時間にこそこそ加持くんと話しているところを誰かに見られでもしたら、それこそ変な噂が立ってしまう。
それなら、いっそ、連絡先を交換しておいたほうが安全かもしれない。
「まあ、確かにそうかもね。優衣はどう思う?」
明日菜の問いかけに私は、「そうだね! 交換しよう!」と答えた。
これは、加持くんとの関係が深まることと同時に、公生くんに近づくことでもある。