レインリリーで待ってる
公生くんの家の前の坂を行ったり来たりしながら、いつインターホンを押そうか迷っている女の子、これが私。
ほんと、早く押したいけど、ご両親とかいたら、私もだけど、公生くんも気まずいよね……。
こういう時って、LINEして呼び出せば楽なんだろうけど、生憎、公生くんとの連絡手段は、私の手提げカバンに入っている交換ノートしかない。
さあ、どうしよう……とその時。
玄関がガチャッと開き、私は慌てて電柱の裏に隠れた。
そーっと見ると、多分、ご両親。40代くらいで、高そうなスーツと高そうなドレスを着た二人は、家を出て、そのままガレージにある、これまた高そうな左ハンドルの車に乗り込み、そのままガレージを出て、私の目の前を走り去っていった。
ご両親がいない。チャーンス!
私は、急いでインターホンを押した。
ピーンポーン。
返事はない。
もう一回押す。
ピンポーン。
返事はない。