レインリリーで待ってる
洋風のリビングには、大きなテレビがあって、暖炉もある。
そして、フカフカのソファーにちょこんと座って、カウンターキッチンの方を見ると、さっきの女の人がやかんに火をかけている。
「ごめんなさいねー。私、メガネないと生きていけなくて」
赤縁メガネをかけたスウェットの女の人が対面に座る。
聞く話によると、この人は公生くんのお姉さんで、『晴』さん。
22歳の自称小説家で、昨夜も遅くまでコンクールに出す原稿を書いていて、1時間ほど前にベッドに着いたところだったらしく、機嫌が悪かったのだという。
「す、すみません……朝早くから」
「いいのよ。こっちこそごめんなさいね。まさか、まさか、あの公生にこんな可愛い彼女がいたなんてねー」
か、彼女!?
「か、彼女なんかじゃないですよ!?」
「いいのよ、隠さなくて」
なんか勘違いされてるけど、私にとっては悪い気はしない。