レインリリーで待ってる





で、肝心の公生くんはと言うと、晴さん曰く、「私も知らない」らしい。




「あいつ、書き置きもしないで、休日はぴゅーっと出ちゃうからねー。しかも、スマホも持ってないでしょ? 連絡取れなくて……優衣ちゃんだっけ?」




「あ、はい」




「公生の行き先、心当たりない?」




「いえ……」




「そっかー。てっきり彼女に会ってるもんかと思ってたんだけど、その彼女はここにいるわけだし、私の推理が間違ってたってことね……」




いやいや、私が公生くんの彼女って推理も間違ってますけど!?




「で、公生のどこが好きなわけ?」




「え?」




やかんがピィーっと音を立て、お湯が沸いたのか、私の頭が沸いたのか、そんな合図を告げる。





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