蓮の華
「ごめんな、いきなり呼んで」
いつも通り屋上に行くと壱はいた。
「大丈夫だよ」
けど、今日はいつもと違って疲れた顔をしてる。
「あのさ、」
「なに?」
何か真剣な話だとあたしは勘づいて壱の隣に座った。
「あんま詳しく言えないけど」
「うん」
「希輝には気をつけて」
“希輝さん”その名前が出てくるとは思わなかった。
どんなことをどう気をつけたらいいのか、さっぱり分からない。
「まだ、あんま詳しいこと言えないんだけどさ」
「そっか」
わざわざあたしにまで言ってくるってことは、いずれかその理由を知ることになる。
その壱の顔を見てると軽い問題じゃなさそうだし。