お猫様が救世主だった件につきまして
いつの間にこんなに人が集まったの? と思うほど周囲を人だかりができていて。みんなが口々にこちらの勝利を喜んでいた。
「流石は勇者様! あのアレク殿下をお負かせになるとは」
「アレク殿下は国内一の使い手だからな。それを負かせる強さがあられるなら、これならばステルス帝国など恐るるに足らず、だ!」
国内一……あのアレクが国内で一番の実力者だったんだ。道理で強かった。
それはともかく、とあたしはのんびりと筐体に座るミケを抱き上げる。
「ミケ、助けてくれてありがとうね。あたしもまだまだだ」
頬擦りすると、嫌な顔で思いっきり猫パンチをされたけど。それすら今は嬉しい。
「勇者様、どうぞこちらへ。皆へお顔をお見せくださいませ」
ヒース司祭長にそう促され、あたしは照れて頬を掻いた。
「あ、あたしは大した力もなくて……そんなに期待されると困ると言うか」
「構いませんよ。さ、前にお進みください」
ヒース司祭長にはこれからお世話になるだろうし、あんまり渋るのもあれだ。勿体ぶってると思われちゃうか、と促されるままに歩く。
すると、いつの間にかステージの上に立っていて。隣にはアレクがいた。