お猫様が救世主だった件につきまして
『スバラシイ! アナタハダイトウリョウデス!!』
「やった~! 60点突破したよ!!」
ハンマーを持ったまま、あたしはピョンピョンと跳びはねる。友達が白い目で見てるのは知ってるけど、気にしない!
「さくら……高1でそれはあり得ないって。信じらんないわ~もぐらたたきゲームくらいでなんでそんなに盛り上がれるかねえ」
高校の制服である紺色のブレザー姿の友達が呆れたように大きなため息を着くけど、あたしは右手でピースを作って「余裕」って返してあげました。
アミューズメント施設が充実し最先端の技術が惜しみなく使われたゲーセンならともかく、ここは両親が生まれた時代から現役である懐かしいゲームセンター。あたしには昭和のレトロっぽさが堪らないけど、現代っ子である親友には古くさくてつまらないんだろうなあ。
「ごめんね、すみれ。もうちょっとだけ。せっかくだから、60点越えたいんだ。後でシェーキ奢るからさ」
手を立ててお願いすれば、すみれもニヤリと笑って「ポテトもね♪」とかなりちゃっかりしてる。
「わかった、Sサイズなら」と妥協案を示してから、再びチャレンジするために小銭入れからなけなしの100円玉を取り出した。