お猫様が救世主だった件につきまして
日常?
(7色の要素……かあ)
あたしは下町の教会で聞いた神父様の話が気になって調べてたけど、アレクの持ってきた本だけではわからずに結局王立図書館に通うはめになった。
学校でも1年に数回行くか行かないか位だったんだけど。
「ええと……緑は大地……自然そのものを現す。命を繋ぐ役割……か」
ようやく色彩に関する書籍を棚から見つけ、机に戻る時間も惜しくて歩きながら読んでると。突然隣から声が聞こえた。
「ずいぶんと勉強熱心だな」
「ふわっ!?」
脇に抱えた本がバサバサッと床に落ちる。クックッと意地の悪い笑い声の主はもちろん……
「アレク! 突然声をかけないでよ。予告してから喋って!」
「悪い、悪い。だが、喋るのにいちいち予告って……ぶぶっ」
「わ、笑いたければ笑えば! あたしはよそに行きますから、勝手に一人で笑ってなさい」
落ちた本を拾おうと手を伸ばすと、指が触れる前にそれはヒョイとアレクの手の中に。
「ありがとう」
渋々お礼を言って受け取ろうとすると、またぶはっ!と笑われた。
「すっごい不本意だって顔に書いてある。相変わらず面白いな、おまえ」
「あたしはおまえじゃなくて、さくらって名前があるんです! それより早くその本を返して」
取り戻そうと手を伸ばすと、よりによってアレクは頭上より高く本を持ち上げてひと言。
「やだ」
……3歳児か、あんたは!