お猫様が救世主だった件につきまして



「おまえな……ま、いいか。今日はケンカをやめよう」


バサバサッと羽音が聞こえると、パティさんとミケを乗せたリリが着地してきた。


パティさんは抱えたバスケットを置くと、辺りの石や草を退けだす。アレクは見てるだけだったけど、あたしは彼女に倣い手伝う。


石をすっかり取り除いて土を均した後、パティさんはバスケットから布を取り出してそれを上に広げると、隅を小石で留めた。


「さ、お楽になさってください。今、お茶を淹れますから」

「は、はあ……」


靴を脱いで上がったあたしは、思わず正座をしてしまいました。だって、日本人ですから。


パティさんがバスケットから茶器を取り出して、ポットからお湯をティーポットへと……って。もしかして魔法瓶!?


コポコポとお茶を淹れる音と一緒に、芳ばしいふくよかな香りが広がる。パティさんはこれも、とクッキーとともにティーカップを渡してくれた。


ちなみにミケには……魚料理とチーズとミルク。贅沢過ぎでしょ


ほけ~と紅茶を飲みクッキーを摘まんでると、何であたし、ここにいるんだろうなって思う。


晴れ渡った青空。湖面と緑陰を揺らすそよ風。土と緑の香り。輝く木漏れ日。


すべてが非日常的すぎて、何だか現実味がなかった。


< 39 / 79 >

この作品をシェア

pagetop