お猫様が救世主だった件につきまして
「おまえな……ま、いいか。今日はケンカをやめよう」
バサバサッと羽音が聞こえると、パティさんとミケを乗せたリリが着地してきた。
パティさんは抱えたバスケットを置くと、辺りの石や草を退けだす。アレクは見てるだけだったけど、あたしは彼女に倣い手伝う。
石をすっかり取り除いて土を均した後、パティさんはバスケットから布を取り出してそれを上に広げると、隅を小石で留めた。
「さ、お楽になさってください。今、お茶を淹れますから」
「は、はあ……」
靴を脱いで上がったあたしは、思わず正座をしてしまいました。だって、日本人ですから。
パティさんがバスケットから茶器を取り出して、ポットからお湯をティーポットへと……って。もしかして魔法瓶!?
コポコポとお茶を淹れる音と一緒に、芳ばしいふくよかな香りが広がる。パティさんはこれも、とクッキーとともにティーカップを渡してくれた。
ちなみにミケには……魚料理とチーズとミルク。贅沢過ぎでしょ
ほけ~と紅茶を飲みクッキーを摘まんでると、何であたし、ここにいるんだろうなって思う。
晴れ渡った青空。湖面と緑陰を揺らすそよ風。土と緑の香り。輝く木漏れ日。
すべてが非日常的すぎて、何だか現実味がなかった。