お猫様が救世主だった件につきまして





とはいえ、お嬢様の襲撃(?)で一つ解ったことがある。


あたしの使うのは炎のドラゴンだってのが確定したってこと。

そりゃ赤い身体をしてたし、下町でおっさんに絡まれた時に“炎の護り”とか言われたけど。あの扇の炎上っぷりを見たら、そりゃ確信するしかないでしょ。


(となると火を中心に調べるか)


災い転じて福となす……かは知らないけど。今まで滅多矢鱈に調べてたけど。これで範囲を絞り込むことができる。


その可能性を下町の教会にいるシスターのアンナさんに話すと、彼女は同意してくれた。


「たしかに、赤は太陽と炎を表しますね」

「ですよね? なら、赤を中心の技を見つければ……」

「ですが、わたくしはできたらあなたにそのような危険な真似はして欲しくはありません」


アンナさんはあたしの頬に手をやると、そっと撫でてくれる。まるで愛しいものへと向けるような暖かな眼差しに、くすぐったい気持ちになった。


「できればあなたには無事にニホンに帰って頂きたい……そう思います。いえ、そうすることがわたくしの責任。ですから……どうか無謀なことは考えてはいけませんよ」


心底心配してくれる揺れる眼差しに、きっぱりと「はい」と返事できなくて。あたしはただうつむくしかなかった。


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