お猫様が救世主だった件につきまして




心配してくれる人たちには申し訳ないけど、あたしが居られる時間は決まってる。


そして、みんなの為にも次のバトルは負けられない。気合いを入れたあたしは、教会のカラクリでバトルの特訓を重ねつつ。子ども達に勉強を教えた。


たまにはパティさんとともにお菓子を焼いて、彼女と一緒に配って。大げさな道具が必要ない遊びも伝授する。


やりたいことは多くなるのに、時間は残り少なくなってく。


「こら! ミケもちゃんと練習しなさい」


カラクリでのバトルの特訓中、ミケは日向ぼっこか寝てるか遊ぶか食べるかだけ。全然危機感が足りない……って。猫相手にそんな期待するだけ無駄だけど。


「128対95……はい、次!」

「姉ちゃん、もう26回目だろ? いい加減止めといたら」


ドムくんがあたしに心配そうに言ってくれる。その優しさが嬉しいけど。


「あたしは大丈夫! それよりちゃんと数字を足せるようになったんだね」


あたしは思わずドムくんの頭を撫でると、彼は照れて顔を赤くしながら次の人を呼びにいってくれた。


汗だくで疲れても、頑張らなきゃ。明日は大事なバトルの本番。アレクと戦った時のような失敗は許されない。


タオルで汗を拭い水分を取って呼吸を整え、次の対戦者を待つ。やって来た人は下町一番の実力と名高い人だけど、圧倒的ポイント差で勝つことができた。


(やった……! これで明日は頑張れる。自信を持とう。自分を信じなきゃ)


ガッツしたあたしの後ろでは、やっと起きたミケが大きなあくびをしてた。


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