お猫様が救世主だった件につきまして






翌日バトル会場に指定されたのは、国境近くの平原。正午からがスタートになる。


国の運命を賭けた戦いだけに、かなりの観衆に取り囲まれて。しかも、双方国王と皇帝まで出張るなんてとんでもないプレッシャー。


審判を務めるのは、大神殿の長であるヒース司祭長。


双方のシスターの歌声が合わさると、澄んだ音に合わせて天空から虹色の光が降りてくる。地面からは緑と水色の光が螺旋のように絡み合い、帯状の光がオーロラのように瞬いては消える。それが結ばれると光が形を成し、フィールドが完成していく。


国同士の命運を賭けた戦いだから、規模は違うだろうと踏んでいたけれど。


まさか……何十mもの大きさのドラゴンを操るなんて。思ってもみなかった。


しかも、かなり凶悪な面構えじゃないでしょうか? なんか吼えてるし。どんどんって、足踏みして……リアルに地響きしてるんですけど。


ホントに、これ幻想のビジョンなの? 本物のドラゴンじゃないでしょうね!?


「ひええ……ミケ、どうしよ。負けたらパクリと食べられちゃうかもよ」

「ふあああ……」

「こんな時にアクビか! あんたはホントに肝が座ってるわ」


あたしは緊張のあまりに冷や汗が流れて膝がガクガクしてるのに、当のミケは筐体に座り込み大あくび。いくらドラゴンに威嚇されようがへっちゃら。さすがに大物過ぎる。


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