お猫様が救世主だった件につきまして
バトルタイムのゲージは残り60秒を切った。
ポイント差は250対99……どう考えてもこちらの勝ちだ。
(このまま手加減せずにポイントを稼いで……必ず勝つ!)
気を抜くな、とハンマーを握りしめる手に力を込める。
こちらの赤いドラゴンは相手の青いドラゴンを今にも押し出さんとしてる。青ドラゴンも踏ん張ってるけど、ステージの上から足がはみ出して落ちそうだ。
あと、ちょっと――残り30秒を切った瞬間。
信じられないことが起きた。
帝国のプレイヤーが奇妙な踊りみたいな怪しい動きをした直後――
青いドラゴンが金色の光に包まれたかと思うと、突然こちらのドラゴンを押し返してきたからだ。
「え……」
あたしは目を疑った。
だって、信じられないことに。
260はあったはずのあたしのポイントが、130……つまり、半減したんだから。
「何これ……嘘でしょう? こんなの、詐欺じゃない!」
思わず叫んでたところで、手のひらに鋭い痛みが走る。ハッと我に返れば、既にポイントが120対130まで縮んでた。
どうやら、ミケが叱りつけてくれたらしい。
「フカッ!」
「そうだね、ミケ。ぼうっとしてられない。頑張らなきゃ!」
あたしは再びハンマーを持つ手に力を込め、振り下ろした。