お猫様が救世主だった件につきまして




あたしはとにかく集中した。


今までのすべてを賭けて、残り時間20秒にすべてを。


残り15秒

133対128。

10秒。

139対136。


5秒。

145対148――。


「お願い……力を貸して!」


なぜか脳裏に浮かんだのはおじいちゃんじゃなく“彼”の顔で、あたしはそれだけで力が沸き立つのを感じる。両手でハンマーを持つと、今までにないスピードで振り下ろす。


残り3秒……

148対150。


2秒。


151対151。


1秒……。

153対153。

――0。


タイムオーバーを、ヒース司祭長が告げる。


そして……。


「156対155。今回のバトルはアクスティア王国の勝利とし、ステルス帝国はカーライル地方を返還すべし」


絶対の強制力を持つ勝利宣言が高らかになされ、アクスティア王国側の国民が一斉に沸き立った。


耳が痛くなるほどの歓声を受けながら……



力尽きたあたしは、そのままストンと意識が落ちていった。

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