お猫様が救世主だった件につきまして
「ゲルグ宰相がぼやいてましたよ。“アレスのあのコレクションを捨ててやろうか”とか」
「な、なに? それは大変な、一大事ではないか。今行くぞ! 愛しのハーピィ達よ!!」
息子の言葉に顔色を変え、奇妙な雄叫びを上げながら、国王らしきおじ様は走り抜けていった……。
「あれ……アレクのお父様だったんだ」
「人形を収集するような変態だがな」
「…………」
いや……人の趣味に関しては……うん、何も言わない方がいいよね。
アレクは国王陛下が座っていた椅子に腰を下ろすと、あたしをジッと見てきた。
「気分は? 体調はどうだ」
「ん……何とか大丈夫。ちょっと疲れたけど。パーティー……出た方がいいかな?」
「いい。父上はお祭り騒ぎが好きなだけで、主役が居ようが居まいが構わない」
アレクはあたしの頬に手をやると、そっと撫でて「冷たいな」と呟いた。
「もっと、身体を暖めろ。バトルで体力と精神力を消耗しきったのだろう。特に今回は邪道な技を使われたからな」