お猫様が救世主だった件につきまして
アレクの言葉で思い出した。
残り30秒で起きた不可解な出来事を。
「黄金の光が見えてポイントが半減したけど。あれが技なの?」
「ああ。今までステルス帝国に一方的にやられたのは、ああいう手段を駆使されてきたからだ」
アレクが悔しそうに歯噛みするけれど、あたしは納得できなくて彼に訊く。
「でも……されてみて解ったけど。あれってすごく卑怯じゃない? 片方が一方的に有利になるだけなんて。あれで結果に文句をつけるな、はおかしいでしょう」
「確かにな。だが……あれでも絶対的な結果になるのだ。神が定めたルールに則っている以上、否やは認められない」
「なら……こっちだって。なんで、アレクは使わないの? あれじゃ、やられっぱなしも仕方ないってなっちゃうよ」
「仕方ない。父上も俺も……技を使うことは認めなかったからな」
アレクの言うことが信じられない。あれだけの威力があるのに、どうして?
「なんで? それで負け続けたなら仕方ないじゃん」
「仕方ない……か」
フッとアレクは皮肉な笑みを浮かべると、いきなり疑問を投げつけてきた。
「それでは訊くが……人一人の命と国の勝敗……おまえならばどちらを選ぶ?」