お猫様が救世主だった件につきまして
「バトルに強い勇者を見つけ、育ててアクスティアを救うと……そして、あの方は異世界へと二度と還れぬ旅へ出たのです」
アンナさんはそう話ながら、瞳を潤ませてる。何があっても動じなかった彼女が……。
「それで……見つかったのがあたしとミケだったんですね」
「おそらくは……あの方もきっと、孫であるあなたを愛し可愛くて仕方がなかったはずです。なぜならば……あなたに炎の加護を授けたくらいですもの」
「炎の加護?」
「はい。神に選ばれし一握りの人間にのみ与えられる力。バトルの真正のプレイヤーの証ですわ。
その加護は世界にふたつとないもの。ですから、あなたに授けた後あの方は……おそらく」
アンナさんが先を躊躇う気持ちは解る。おじいちゃんはあたしが小学校に入る頃……亡くなってる。
入学祝に赤いブローチをくれて、いつも肌身離さず持ってなさいと言われた。
小学3年の時に、突然ブローチが割れてあたしの中へ何かが入り込む夢を見たけど。
あれは……夢じゃなかった。炎の加護が与えられた瞬間だったんだ。