お猫様が救世主だった件につきまして
ハッピーエンド
おじいちゃんが帝国の国民だった――
そんなおじいちゃんは、幼い頃からあたしを育ててくれた。もぐらたたきゲームのプレイヤーとして。
「なら……あたしも覚悟を決めなきゃ、ね」
胸元に現れた炎の加護の証に触れて、ひとり呟く。
帝国との最後の戦いが、迫ってた。
今日、あたしの運命に決着を着ける。
どんな結果になっても後悔しないために、懸命に力を出しきろう。
「おはようございます、サクラ様。今日はお早いお目覚めですね」
「うん、いよいよ最後の戦いだから。早く目が覚めちゃった」
朝の洗顔のたらいを持ってきたパティさん。彼女の笑顔は明るい。いつもいつも励ましてもらって……あたしにはお姉ちゃんみたいに思えてた。
「今日はどんな物をお召しになりますか? やはり国家の戦いですから、気合いを入れたドレスで……」
「ごめんね、あたしはやっぱりこれでないと」
ドレスルームに並んだ華やかなドレスたちの中からあたしが選んだのは、紺色の地味な制服。明るい色彩の中では逆に目立つそれを身につけると、やっぱりほっとする。
これが、あたしの身の丈に合った服。あたしの生きる世界の証。