お猫様が救世主だった件につきまして
バトル会場は前回と同じ、国境近くの平原。
進行も何もかもまったく同じで、シスターの歌でフィールドが出現する。
あたしは深呼吸しながら創られてゆくフィールドを眺める。
――これが、本当に最後。
あたしに出来ることも、アレクのために出来ることも。
アレクにはたくさん、たくさん大切なものをもらった。
思い出も、楽しさも、勇気も、そして――恋も。
だから、あたしはあたしの持てるすべてで、帝国に勝つ。それがあたしのアレクへの最初で最後のプレゼント
将来、アクスティアの国王になった時。アレクがなるべく苦労しないようにしたい。ただ、それだけ。
その隣にいる人があたしでなくても、アレクが幸せで笑顔で居られるなら。あたしは笑ってさよならできる。
「それでは――はじめ!」
ヒース司祭長のバトルスタートの声が、紺碧の空に響き渡った。