お猫様が救世主だった件につきまして



98対96……さほど差がつかないまま、バトルは終盤へと入る。


そして、帝国のプレイヤーが再び前回と同じ奇妙な動きをするのを目の端で認めた。


「させないっ!」


あたしは落ち着け、と自分に言い聞かせながらハンマーを持ち直す。


まず、赤。次に緑と青。赤、紫……規定の時間内で手順通りにヒットさせると、こちらの筐体も赤く輝きだした。


黄金色の光が青いドラゴンを包む直前、こちらの赤いドラゴンの前に炎の護りが出現し、かろうじてポイント半減は免れた。


本当に、ギリギリ。だけど、ほっとしてる間はない。こちらの動くスピードは一定時間遅くなるペナルティがあるんだ。ハンマーを手に、一所懸命モンスターの頭を叩いた。


110対102。思ったより差がつかないまま、バトルタイムは残り30秒を切った。


相手の動向に気をつけながら、着実にポイントを稼いで追い付いてく。


このまま追い付けば追い越せる! そう思ってハンマーを振り下ろしていると。


帝国のフィールドが淡く虹色に輝き始めた。


(あれはまさか……)


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