妖しの姫と天才剣士



「た、助かりました……。ありがとうございます」



総司が寝ている横で深々と頭を下げる。



「別に。それよりも何故茅野が居るんだ?」



自然と出てくる疑問。


私は物置部屋で過ごしてた筈で、こんな所に居るのはおかしい。


それに、総司の部屋だし、布団一つだし。


斉藤さんは副長の命を知らない。


「まぁ……話を要約しますと、副長の命令で私の監視役に総司がなりました。

のでこの部屋で過ごす事になった、って事です」


はい説明終わり。


これ以上何を言えば良いのか分からない。


逃走しようとした事なんて絶対に言えないから。



「理由は別に構わない。お前がこの部屋に居ても……」



斉藤さんはそこで口を閉じた。





私がこの部屋に居ても?


馴染むと? いや違うな。


最初に居たのはこの部屋だったけど、それも一度だけ。


それ以外じゃ来た事なんてないのに。



「ようやく……かとなるだけだがな」



斉藤さんのいう事はやっぱりよく分からない。


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