妖しの姫と天才剣士
きっと俺が悪い。
だらだらと奴の脅しに乗せられて、覚悟を決められなかった自分のせいだとどこかではわかっている。
それでも…………やっぱり
お前が悪いっ!
手を貸して、雷狼。
ちょっとした、俺の我儘にさ。
「楽になんて死なせてやらねぇ」
これははっきりとした殺害宣告。
初めてだ。これほどまでにはっきりと人を殺したいという感情を抱いたのは。
「僕は最初から君を殺すつもりだし。
……僕が、殺されるとでも?」
ジュクッと音を立てて由羅は小刀を抜く。
目を見開いたまま立ち尽くしていた土方さんが茅野ちゃんの体を支えるのが見えた。
「無様な顔ッ。弱〜い君にはお似合いさっ」
「黙れ」
うるさい。
その声すらジクジクと頭の中に響き渡って気持ち悪い。
そっと、雷狼の雷を纏わせた刀を構える。
「俺らの本気見せてやるよ。……覚悟しやがれ」