妖しの姫と天才剣士
ここに居られる事。
こうして総司の近くに居られる事を選択したんだ。
もう、気づいたから。自分の心に。
私の心を読んだ訳じゃないだろうけど総司が私を抱き締める腕に力を込めた。
私はそれを素直に受け入れた。
ここに居られる事が幸せだって気づいたから。
「残念だったね、君。茅野ちゃんに振られてる〜。
ま、絶対に守ってみせるから素直に諦めなよ」
それが総司の選択。
どんな風にそれを取ればいい……のかな?
誤解しちゃいそうな頭を総司の腕に埋めた。
「それが新選組の意思ならば失わないように抗えばいい。
それでも僕たちはこの牙を収めることはしないだろう」
「何故、と一応聞いても良いかな?」
「それ程までに彼女は有能だ。
戦場に立って血を流すことは惜しい。その血はもっと有意義な活用が出来るのだから」
熱く語る彼に対して私はどんどん冷めていく。
結局は私の血にしか興味がないんでしょ。
死んだと思った怪我が消えるようなおかしな血が。
「私を馬鹿にしないで。そんなモノに利用なんてされてやるか」
「威勢のいいことだね。
––––でも、その力を知った新選組だっで利用し出すだろう。
妖を使えるのならば余計に」