妖しの姫と天才剣士
私はそのまま土方さんたちより先に帰った。
待っているのも暇だったのもある。
でも一番の理由は総司がキツそうだったから。
あまり無理させて隊務に響かせる訳にはいかないからね。
一応、これは極秘だし。他の隊士に怪しまれる訳にはいかない。
「無理してない? 僕って結構重い……と思うけど」
「無理はしてない。てか、無理してないとか総司には言われたくないな」
この疲労だって無理した所為でしょ?
私の為に頑張ってくれて嬉しいと思ったのは秘密。
幸いな事に戻るまでに隊士に会う事はなかった。
今日の夜回りは左之助さんと藤堂さんだっけ。
戻ってくるのは遅いかもな。
部屋に着く頃には口を開く体力すらないようで目を伏せていた。
もう、どれだけ無茶したの。
ズキ……と痛む胸を押さえながら部屋の中に入った。