妖しの姫と天才剣士
「ちゃんと、生きてるよね。夢じゃないよね」
巻きついた総司の腕。その手は微かに震えていて。
そんなに私の事を……?
総司と顔は合わないけど私はそっと、微笑む。
「大丈夫。私は生きてるよ」
安心して。
それを伝える為に震えている手に私の手を重ねた。
ちゃんと温かみがある手。私を安心させてくれる総司の手。
撫でるようにしながら両手で包み込む。
肩に乗っけられた総司の頭に肩がビクッと動く。
き、急だよね……。
「あの時、茅野ちゃんが死んじゃったかと思っちゃったんだ。
……守れなかった。
僕が、殺したって」
「違っ、あれは誰も反応出来なかったから……。
総司の所為なんかじゃ絶対ない」
由羅の動きは普通じゃなかった。
近くにいた土方さんでも対応出来ないくらい。
私でもあの動きに反応出来ないから。
「総司の所為なんかじゃない」