妖しの姫と天才剣士
それに私が総司の足を引っ張ったも同然。
あんな簡単な罠に引っかかって、由羅に弱みを握らせてしまった。
そんなの、一番駄目だって知ってた筈なのに。
足手まといにならないように離れてたのに結局足引っ張っちゃったしね。
「私の方が悪い」
「いやいやいやっ。そんな事ないからっ」
「捕まったのは私の弱さ。その責任を私は全部総司に背負わせちゃったんだから」
「ああ、もう。
……こんな事を言いたかった訳じゃないんだけどなぁ」
? 私に何か話したかった事でもあったの?
ただ独りになりたくないだけかと。
あと、何か私に言いたい事?
思い浮かばないなぁ〜。
「ちゃんと、聞いてね。あ、いや、やっぱり聞き流していいや。気にしないで。
え、でも聞いてもらえないと困る……ような気もするけど……いや、でもっ」
こんなに意見を変えるなんて珍しい。
狼狽えている総司を見て私はクスッと笑い声が漏れてしまった。
真っ赤になった総司、可愛いんだもん。仕方ない。
視線の泳ぎまくった総司は意を決したような顔で私の肩を掴む。
総司と距離が開いて少しだけ寂しくなる私。
そんなの気にしてられないけど。
何のつもりなのかな? また何かの冗談?
でも、私を見据える瞳には茶化す様子は一切なく真剣そのもの。
「今、言うのは正しくないのかもしれない。
茅野ちゃんだって傷ついてるだろうから。
でも、僕が今じゃないと言えない。勇気のない僕を許して」
苦しげに笑顔を見せた総司に私は何も言えない。
何を、私に伝えたいの総司。
ドキドキして、期待と、不安が入り混じった感情。
答えを私はまだ見つけられずにいた。