妖しの姫と天才剣士



え、ちょっと待って。言われた事の整理が出来ない。


好き? 総司がわ、私の事を⁉︎



「じょ……冗談じゃない……よね」

「なんでわざわざ今冗談言わなきゃならないのさ。

笑いが取れるわけでもないのに」



真っ赤な顔で口元を押さえた総司。


ちょっと可愛いなって思ってクスッと笑ってしまった。



「なに。どっか面白いとこでもあったの」

「う、ううん。気にしないで」



本気……なんだよね。総司が言った事。


本気にしちゃうよ? 今から嘘だって笑って返されたらどうしよう。


そうなったら私、もう折れて起き上がって来れないかも。



「本気に……しちゃうよ? 総司」

「嘘だと思ってるの? まだ僕の言葉」



だって私そんな事言われた事ないし、言われるとも思ってなかった。


しかも、言われたのが総司だよ?


私の––––大好きな。


パクパクと口を動かして言葉を発そうとして、でもどうしても恥ずかしくて俯いた。


< 176 / 307 >

この作品をシェア

pagetop