妖しの姫と天才剣士



「ぇ、ぁ、茅野ちゃん? ど、どうした?」



視線のかち合った総司の顔はみるみる内に申し訳ないような表情に変わっていく。



「ごめん」

「え?」



そこで、初めて私が泣いてる事に気付いた。


なんで私泣いてるんだろ。悲しくはない、全く。


むしろ嬉しいのに。



「違うのこれはっ!」



ちゃんと、伝えたい。


私も貴方の事が好きだって。


でもその気持ちが逸り過ぎて。



「ひゃっ!」



足を滑らせてドスッと総司の胸に頭が直撃。

私は全然痛くなかったけど、総司は結構痛かったよね。



「えっと…………?」



私は足の間に挟まれるように抱きしめられていて、総司は心配そうに私の顔を見つめてた。


恥ずかしすぎるよっ。滑るって何、ああ私馬鹿だぁっ。


また涙が溢れてくる。


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