妖しの姫と天才剣士



「あ、あのねっ、これ、私、嫌で泣いた訳じゃ、なくてっ」



なんて言ったら良いんだろっ!


言葉が見つからないよっ。


嬉し涙で、私も好きってどう言えば伝わる?



「わ……たし、もね。…………なの」



駄目、肝心な所が言えない。好きってちゃんと返さなきゃなのに。



「……ごめん、もう一回言って? 聞こえない」



拷問ですか。



「だ、だから、私は、総司の事がっ……好き……なのっ。

こんな事、本当は私言っちゃいけないのにっ」



顔が熱すぎてふらふらしそう。


総司の顔を見ても明らかに呆然としてて、話し掛けても何も返ってこない。


え、私、変だったかな?


やっぱり私の話を聞いて嫌になっちゃった?


それとも度の過ぎた冗談⁉︎



どんどん嫌な方向に思考は向かっていって、そんな自分が嫌になる。


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