妖しの姫と天才剣士
「代わりますよ。佐々木さん」
「あ、ああ。済まないな、茅野。……後は頼んだ」
佐々木さんはそれだけを言うと走るわけじゃない。
けど、限りなく走るに近い速さで廊下を歩いていった。
逃げ足早っ。
でも、一安心。誰もいない……よね。
それを確認すると目の前の四人を見て、今日何度目か分からない溜息を吐いた。
何でこんな朝っぱらから来るのかな?
「お、姫。久しいな」
「ここで姫と呼ぶのは止めて下さい。
……今は男という事で通っておりますので。
良いですか? 雷狼さん」
「うむ、承知した。姫」
って、言った側から言ってるじゃん!
こういう所って総司に似たのかも。
どっちが親玉?
あと、わざとなの? 本気で言ってるの?
「こら、茅野殿を遊ぶのは止めなさい。主に怒られますよ」
「でも、この嬢ちゃんて悪戯したら楽しそ〜だよな」
「…………同意はしないからな」
なん……なの。この四人は!
皆が皆個性的すぎ!
佐々木さんが逃げ出すのも分からなくはないよ……。
このままここで相手してたってダラダラと時間だけが過ぎていく気がする。
「で、要件は何ですか」