妖しの姫と天才剣士
「まぁ、本当の事を言うと皆に揃って貰う必要はあまりなかったんだが」
「はあっ⁉︎ じゃあ何で呼んだのさ、雷狼」
総司の顔からは不満が漏れ出てる。何かしてた事でも……あったの?
まぁ、確かに必要が無いなら呼ばなくても良かったとは思うよ?
私なんかより仕事多いだろうし。
直接私に言ってくれればそれで終わったんじゃ。
「主たちが居た方が話が早いからだよ。後は口封じだ。
姫様のことに関する情報は危険だからな。
だから内情を知っている主らに来てもらったんだよ」
私の情報が危険? それに口封じって。
響きが怖い。そう言っている雷狼さんの表情が険しい分余計に。
自分で聞いておいて何だけど、少しだけ後悔している。
大きな事になってる予感。
「姫様の話をする前に話したいのは我らの事について」
隣の総司が息を呑むのを聞こえる。
総司も知らないのかな。雷狼たちのこと。
なのに急に心細くなって、総司の人差し指だけを握った。
これだけで少しは安心できる。不思議だけど。
「我らは、我らの祖は元々は人間だ。
大昔に犯してはいけない禁忌の罪を犯した同胞。そして、妖の血と共に罪を背負った存在」
辺りの空気が一瞬にして凍えた。
禁忌という言葉が私の中の何かに深く突き刺さった。
何かの光景が脳裏に一瞬だけ浮かんですぐに消える。