妖しの姫と天才剣士
桜の木の下で
「は、ぁ……」
私は桜の木の下に座り込んだ。
少しでも体力を回復させないと、ここで死ぬ。
……別に人を斬って疲弊した訳じゃなかった。
そんなのもう慣れたこと。
……こっちも慣れてると思ってたけど。
ガサッ。
ああ、またか……
『グルルルッ』
妖狐の群だ。きっと、私を追いかけてきた。
私に寄せられたのか……はたまた血の残り香か。
まぁ、どれでもいっか。
今日だけで……何度目だっけ?
今度の奴らなら
「私の事、殺せるのかな」
その呟きに意味なんてない。
もしかしたら、私は殺してくれる者を探している?
誰か、私を楽にしてくれるものを。
「フッ」
馬鹿な事を考えたな。
刀を握る。
襲いかかってきた妖狐を斬るために。
その単純な作業をする為だけに。
負ければ死ぬ。勝てば生きる。その最大の賭けの場を生き抜くために。
なのに、
その妖狐は誰かに斬られた。