妖しの姫と天才剣士



ああもう!


未だに痛む頭を押さえながら刀を構える。



「ガラ空きだ。馬鹿野郎」



胴の空いた浪士を切り捨てる。


その首に刀を突き刺すと、浪士の顔から鱗やエラが削ぎ落ちた。


やっぱりそういう所も……芹沢さんと同じか。


もう一人の男も大した腕ではなさそうだな。


鉄の錆びたような匂いに、頭の痛みがさらに増す。



「いっ」


振り払うように刀を振ると男が距離を取る。



「やはり、おまエが……」



距離を詰めるとそのまま刀を突き出した。


血飛沫を上げながら倒れる男から離れる。


手に付いた返り血に思わず口付け、その行動に驚いた。



「わ、私、何を……」


口に付いた血はいつもと変わらず鉄錆の味。


なのにどうしてこんなに甘く感じてしまうの……?


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