妖しの姫と天才剣士
「総司…………」
また、会いたい。会いたいよ、総司。
怖くて、こんな自分が恐ろしい。
爪が腕に食い込む。
ああ。
こんな所で死にかけるんだったらちゃんと聞いておくべきだった。
やっぱり、嘘は駄目だ。
「やっぱり、好き……」
どれだけ仕方ないって思っても、私は総司の事を好きなままで。
どうにもその気持ちだけは無くならない。
また……会えたら聞こう。『私の事嫌いか』ってちゃんと。
震える体を抱き締めながら、顔を沈める。
指先に伝う血。その温かさと匂いに惹かれるように手に口付ける。
「うっ、う……」
もう、気怠い。このまま、動かなくてもいいかな……。
ザクッと砂利を踏みつける音が聞こえて顔を上げる。
「やっと、見つけた」
あり得ない筈の声が聞こえて、私の体は一瞬震えが止まった。
「嘘」