妖しの姫と天才剣士
一人で身悶えていた私と、目を開けた総司の視線がかちあう。
真っ直ぐとした総司の目。
久しぶりにこんな近くで顔を見たかも。
「「…………」」
少しの間の後。
「「わあああっ!」」
互いに驚きの声を上げて、あたふたしながら背中合わせに座った。
どうしよう、すっごい気まずい。
本当の事を聞きたい。なのに、話しかけるのが怖くて。真実を知るのが怖くて。
意気地のない私は体を丸めて、俯いているしか出来ない。
あの場所だったら、もしかしたら聞けたかもしれないなんて。
馬鹿みたい。
寒かったし、色んな痛みで理性が追いついていなかったんだ。
もう、何も聞きたくない……。
そんな事を考えながらため息をついていると。
「っ⁉︎」
ぎゅっと、後ろから抱きしめられた。