妖しの姫と天才剣士



「んん〜! 美味〜!」



沖田さんは本日三十本目の団子串に口をつけた。



「よく飽きないな……。数えるのも飽きたよ……」



ため息を吐きながら呟いた私に沖田さんは団子を口に放り込みながら言った。



「ええ⁉︎ こんなに美味しいのに! 茅野ちゃんももっと食べなよ!」

「私も、十本は食べました。これでも多過ぎると思ってるのに」

「甘味は別腹って言った人は天才だな!」



その言葉だけでどれだけ甘味が好きなのかが分かる。


意外だなぁ。そう言うの苦手そうなのに。


その間にもついついもう一本団子串を手に取ってしまった私……。


こんな食べる人だっけ、私。


でも、久しぶりに甘味を食べたのはとても満たされた気分。


心もお腹も。


美味しいものというのは人の心を癒す力を持っている……らしい。


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