妖しの姫と天才剣士
真白に染められた世界の中で
ここは……どこなの。
あたり一面真っ白で何も見当たらない。
意識が途切れたのはわかるけど、その後のことはさっぱりだ。
『やぁ〜っと、君と繋がることができた』
そんな声が私の耳元をかすめていく。
誰っ!?
振り返ってみても誰の姿も見当たらない。
『まだ君に僕の姿を見ることはできないよ。
まだ繋がりは不十分だから』
今度は逆の方から声が聞こえてきて顔を向ける。
駄目だ。誰もいない。
随分と遠いところにまで伸びた世界の終わりが見えるだけ。
きっとまだそこで世界は終わってはいないのだろうけど。
ここに誰かいるの。だったら早くここから出して!
『それは無理だよ〜。だって僕は君と話がしたくて呼んだんだから』
私と話? だったら姿を見せろと怒鳴りつけてやりたくなるけど堪えた。
どうせ怒鳴ったところで変わりはしないから。