妖しの姫と天才剣士
それは山奥だった。
私に似た女の子が他の子供達と一緒に楽しそうに笑っている光景。
『ねぇライっ! もっと一緒に遊ぼうよ〜!』
『なんでそんな面倒なことしなきゃいけねぇんだよ! 餓鬼じゃあるまいし』
『あら、まだまだ私たちは餓鬼よ。私たちだけじゃ何も出来やしないんだから』
その周りを囲んでいる何人かには見覚えがあった。
そして気づかされる。
これはミコトの記憶だと。
そして光景は一気に様変わりした。
『やっ、やめて、どうしてそんなことするの!』
『どうしてって、それはこいつから自由になるためだろうが。
こいつを殺せば、俺たちは神になれる!』
全身を血で汚したミコトはボロボロと涙を流しながら叫んだ。
その視線の先には一人の麗しい女性とまた数人の子供の姿。
その中の一人はまるで同一人物かと思ってしまうほどに真響とそっくりの少年の姿があった。
『 っ!』
麗しい女性に手を伸ばした所でまた視界が暗転する。
体が宙に浮いたような感覚に私は体をビクリと反応させてしまった。