妖しの姫と天才剣士
粛清
潜入捜査
数週間後、また私達は芹沢さんに出会った。
そして、この間とは全く別の場所で同じ事をしているのを見てしまった。
「これは……局長と副長に報告する必要があるかな」
「芹沢……と言う人の事?」
「うん。あれ、見たでしょ?」
あれ、とはきっと今さっきの芹沢さんの様子だろうな。
「芹沢さんは局長だけど仕事あんまりしないんだよなぁ。
それに、疑惑があるから不審な動きはしないで欲しいけど……」
「疑惑?」
何の?
お金の工面についてなのだろうか。
新撰組は常にお金に困っているようだし。
「へ? あ、いやっ! 気にしないで」
明らかに失言したと口を噤んだ沖田さん。
「気にしないで、と言われましても」
眉を下げて、はあっと息を吐いた。
「詳しい事は副長に聞いて」
そう、投げやりに言われてしまう。
頭を押さえながら天を仰ぐ沖田さん。
そんな様子に私は何も言えないまま、屯所まで付いてしまった。