妖しの姫と天才剣士
だんだん音が遠ざかっていく。
自分の鼓動ですら感じられなくなっている。
これが死ぬという事?
まぁ、こんなものかな。
血に塗れ、欲に溺れ、手を穢す。
そんな私の結末なんてそんなもの。
そんな人生の中でも総司と会えたことは幸せだった。
真っ暗に染められていた私の日々に明るい光を灯してくれた。
たった半年ぐらいだったけど、その期間が一番濃い記憶だった。
どうか願いが叶うのであれば。
総司が、
近藤さんが、土方さんが、斎藤さんが、原田さんが、藤堂くんが、永倉さんが。
新選組の皆に。
私が味わった以上の幸せがあらん事を。
ただそれだけを願って私は、
意識を奥の方へと沈めた。