妖しの姫と天才剣士
「ほぅ……。それはどう考えるかな」
土方さんがそう言ったのは話をし終わった後だった。
面白そうに歪められた口元が怖い。
怒った顔も怖いと思ってたけど、笑った方が何割も増して怖いじゃないか!
「しかし、新撰組の最高責任者、局長である芹沢さんが京の町でそんな横暴をしているとは……。
総司たちの頑張りが水の泡になってしまう」
顎をさすりながら近藤さんは眉を潜めた。
新撰組の顔ともなる局長。
その任に付いている芹沢さんがそんな事をしていて、良い顔はしないだろうな。
町の人も、隊内も。
だから町の人の対応は変わらないのだと、総司は言った。
見回りをするときの、冷ややかな目。
それでいて、恐ろしいものを見るかのように視線を決して合わせようとしない。
沖田さんたちが町の人たちのために頑張っているのは知っている。
けど、あんな人が新撰組だとしたら、町の人たちの対応は変わらないはずだ。