妖しの姫と天才剣士
「っるさい。黙ってて」
隠そうとしても隠しきれていない鼻声。
やっぱり泣いてるんだ。
私はそっと総司の背中に手を回した。
安心して、私は生きてるよ。ちゃんと総司の隣にいるよって伝えるために。
ビクッと肩を揺らした総司。
「ほんっとに馬鹿……さゆ」
ギュッと今さっきよりも強く抱きしめられて体が触れ合う。
首元にかかる吐息に顔が火照る。
「……心配した。僕のせいでさゆがずっと……一生……目を覚まさないかと思ったら……」
「え?」
私、そんなに眠ってた訳? 二、三日程度じゃないの?
その心の声が漏れ出ていたらしく、クスッと笑みをこぼしながら教えてくれた。
「さゆは一月も前から眠ってたんだよ? 本気で目覚めないのかと思った」
「一月ぃ!?」
そ、そんなに!?
全然そんな気はしないんだけど。