妖しの姫と天才剣士
顔を見せた総司の目はうっすらと赤く腫れあがっていて泣いたことがわかった。
ずっと、そうだったの? 私が眠っている間ずっと。
そう考えると途端に申し訳なってくる。あの時は総司を助けることしか考えてなかったからな〜。
結構、血を流していたし、いつも通り傷が塞がってくれるわけでもなかったし。
そういえば何であの時----。
その思考を遮った総司の言葉に私は目を見開いた。
「生きててくれて……ありがとう」
そんなこと言われたのは初めてで。
「そう……じ?」
「僕のために命を捨てようとなんてしないで。僕と共に生きて」
その言葉で色んなものが溶け出していくのがわかる。
「ありがとう、総司」
私は貴方のために生きていくから。
すっと真顔になった総司の顔が迫ってくる。
何をされるのか理解して顔が熱くなるのを感じながら私はそっと目を閉じる。
唇に総司の吐息が掛かり、私の横髪が搔き上げられる。
あと数寸で触れ合いそうな距離になって肩が震えた時。