妖しの姫と天才剣士



翌日。





「ほな、これで終いや!」



私は今日から潜入捜査に行く。


その為に、観察方の山崎さんに着付けてもらった。


ついでに、お化粧まで。


昨日決まったばかりの事なのに準備は異様なくらい早かった。


こんなものなのか?



「これで、大丈夫やろ!」

「ありがとうございます」



今まで簡単に結んでいた髪。


それを綺麗に結い上げられている事に違和感を感じずにはいられない。



「……精々、芹沢さんに襲われへんように頑張り」

「襲う……⁉︎」



耳元で囁かれた言葉に目を瞬かせる。



「女癖悪いって噂やからな」

「……分かりました」



私が襲われることはないだろうけどね。


皆に女として認識されてないし。


女に見えないやつを手にかけるなんてそんなもの好きはいないだろう。


……忠告された事だし、一応覚えておこう。


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