妖しの姫と天才剣士




部屋の中には土方さんと近藤さんともう一人男の人が居た。


多分、新選組の人だろうけど、屯所にあまり居ない私には誰だか分からない。



「ああ、彼女が茅野さんなのですね」



土方さんとも近藤さんとも違う。


土方さんの尖ったような鋭さともすべてを包み込むような大らかさを感じさせられるわけでもない。


どちらかというと、気が弱そうだ。


けど、剣は強いだろう。そんな気がする。



「ああ、茅野くんは学者の事を知らないんだったね。

彼は山南敬助。新選組副長だ」



副長がもう一人いた事も驚きだったが、それがこんな人だとは。



「…………もしかして、お邪魔でしたか?

でしたら一旦下がって置きましょうか?」


私に聞かれてもいい話じゃないことぐらいはわかる。



「…………頼む。もう少しだけ待っててくれ」



悩んだ様子だったけれど、土方さんは申し訳なさそうに言った。



「分かりました。では、失礼します」



簡単に会話をするとすぐにこの場を離れた。


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