妖しの姫と天才剣士
一旦、下がった私は帰るに帰れず、屯所の中をぶらぶらしていた。
そんな時、見えたのが……
芹沢と新見の姿だった。
何故⁉︎
今まで、ここで一度も来た事が無かったのに⁉︎
これは、伝えに行くべきだろう。
あの場所に芹沢さん達が行ってしまえばバレてしまう。
土方さんたちが何を考えているのかは大体見当がついているから。
芹沢さんならまだしも新見さんは諭そうだ。
土方さんも警戒しているような事を言っていた。
でも……私が行って鉢合わせしても同じだ。
急いで、芹沢たちに背中を向ける。
顔を見られたら終わりだから。
でも、そっちには幹部の部屋しかない事は知っている。
「どうすれば……」
私に行く当てなんてある訳ない。
運良く誰か知っている人に会えないかなぁ〜なんて甘い考えが浮かんですぐ消えた。
都合よく幹部の皆さんが歩いてるわけないし。
男装なので、バレないと信じて言いに行くべきだろうか。