妖しの姫と天才剣士
「あれ? 茅野ちゃん?」
「総司!」
そんな時、通り掛かった総司が私にとって救いだった。
事を伝えると私の腕を掴んで進む。
「副長。芹沢たちが屯所に」
「は⁉︎ …………分かった」
障子越しに会話した二人。
私は一番奥の部屋まで引っ張られるとようやく手を離された。
「この部屋は?」
殺風景だなぁ、とか失礼ながらも思う。
最低限の持ち物しかないようだ。
まぁ、人の事言えないけど。
私の部屋も何もない。自分の物は。って言葉が付くけれど。
それ以外であれば一度は片付けをしたものの、物がごった返していた。
「僕の部屋。誰もこんな所まで来ないし、安心していいと思うよ」
それで少し肩から力が抜ける。
確かにこの場所、屯所の中でも奥の方だから人通りは少なさそう。