妖しの姫と天才剣士
……
それから一月程経った。
引きかけていた風邪だって完全に治ってしまった。
一月も、経ったのに。
今でも総司には避けられたまま。
私、嫌われちゃったかな?
時々、藤堂くんにも揶揄われるんだけど。
最近どうしたんだ〜? 痴話喧嘩でもしたかって。
そんなわけあるかって返して終わるけど……
胸の中のモヤモヤはまだ晴れなかった。
「あの! お兄ちゃん!」
ぼけっと座り込んで、欠伸を嚙み殺していた所に男の子が駆け寄ってくる。
お姉ちゃんだよ〜なんて事は言わない。
子供に悪気はない。
それにばれてないことは良いことだ。うん。
女の子としての威厳が––––なんて絶対に思わないからね!
「これをね、お兄ちゃんに渡してって言われたの!」
「ありがと〜」
総司がそうする様に頭を撫でる。
子供への対応なら総司が一番のお手本だから。
近所の子供達とよく遊んでるからね。
「じゃあね〜! お兄ちゃん!」
嬉しそうに友達の輪に戻る男の子を見ながら、私はその手紙を開く。
中身をみた私は首を傾げずにはいられなかった。
「何だ? これ……」